ほんとにあった!呪いのビデオ・封印映像他感想 呪いの黙示録

呪いの黙示録 感想

2022/08/06

呪いの黙示録 第一章   ★★★★

呪いの黙示録 第一章
久々に新しいシリーズを見た。ディレクターがかの寺内康太郎さんで、「監死カメラ」を手がけたことや「境界カメラ」で中心となっていたことが記憶に新しい。途中で話が出たが「心霊スパイラル」も担当されていた。中身は収録映像複数と、取材中心の内容でオーソドックスな構成だが、取材関係ではドラマ性も強くて飽きない。期待できそうなシリーズの予感。

「知ってる女」
最初の映像で結構長い。事象が複数あるがちょっと早くてわかりにくかった。女性達が仲間内でテーマに沿った動画を撮影してSNSに上げる一環で撮影されたもの。撮影中にも近くの柱から誰かが覗いているのに気づく。そして謎の声がして、一緒に撮影していたはずのもう1人がいきなり走って驚かせてくるがその顔が変貌していた。
変貌した顔というのは投稿者が覚えがある人物のようで、過去のトラブルから生き霊として出てきたと予想される。投稿者はもうその人に会いたくなさそうだったが、スタッフは話をして解決した方がいいと促す。嫌だなあ。

「卒業式」
これも事象が複数。古い映像だ。平成13年だと。どこかの高校の卒業式の様子を保護者が撮影したものだという。自分の子どもを撮ってればいいものをやたらとカメラが左右に振られたりする。誰を撮ってるんだ。教室の場面で窓の外の屋上に女子生徒の姿。そしてあとから教室にも出てきたり音声ネタがあったりする。あとの方はなかなかいいと思った。

「ヌルデ 前編」
アシスタントプロデューサーの真田さんとADの島田さん、そして本作メインのディレクター寺内さんらが打合せをしている。島田さんがあるホームページに注目しているという。それが「天才BTの華麗なる日常」というもの。上の方に流れる文字があったり、背景色と同じ色を使った文字で文章を書いて反転させたら読めるようにするという仕掛けをしたりと、何か個人ホームページが流行っていた頃を思い起こさせてくれる。2000年代前半ぐらいの雰囲気だ。
内容は愚痴に加えて、ある男性を尾行している動画で、この男性にいろいろ不可解なことが起きている。首が消えたり肩に手が出現したり背後に謎の女が出現したり。男性に対して呪いをかけているようでその効果が現れているらしい。と言うか尾行の距離が近すぎてなぜバレていないのか不思議。あとから気づくみたいだが。

BTの素性を探っていく展開かと思ったらあっさりコンタクトできて本人へ取材。趣旨的には顔出ししているのがおかしいのだが、最後の方で理由がなんとなく予想が付く。BTは昔尾行されている男性にいじめを受けていて、その復讐で呪っているらしい。
尾行されていた男性の方は、寺内さんが自身のつてであるネット特定班に調査を頼みこちらも特定された。「境界カメラ」でもだいぶ活躍していたが便利な存在みたいだ。話が動かしやすそう。この男性へ内容を隠した取材の申し込みをする。申し込みの文章に「松田様のプロフィールを拝見し~~」とこの男性の名字が出ているがどうせ設定上の名前だろう。ここからは友人が出てきたり本人に会えたりと結構ポンポンと次から次へと情報が出て展開していく様子が面白い。後編へ。

「新居」
結構古い映像。戸建て住宅を内見した際の映像。エアコンじゃなくてクーラーと言っているあたりが時代を感じさせてさりげない。このとき参加していた人数以外にもう1人知らない人物がいたという内容で、顔がはっきり出ているのがわけがわからなくて逆に怖い。最初に映像が流れた時点ではモザイクがかかっているが、いざ霊らしきものと明かされてからリプレイでモザイクが外れるのも面白い。

「ヌルデ 後編」
BTに呪われているらしい男性は呪い自体を信じていないらしい。そんな状況でBTに呪い行為をやめさせるべきか、あるいは事態を静観すべきかということでスタッフ内でも意見が分かれる。男性宅でついに異変が起きるのが後編の見どころで、あとはこれら一連の事件において重大な事実がわかり、あとはBTと話をして明るい感じでいったん終了。
しかしこのあとに後味の悪い展開が待ち受けているあたりは、伏線も張られていて小説のような面白さがあった。最後の映像も不気味。

呪いの黙示録 第二章   ★★★★

呪いの黙示録 第二章
投稿映像がなかなか派手で見応えがあった。メインとなる「謎のラジオ放送」は予想もしなかった結末。

「笑い声の女」
学校の女子トイレの個室から女性の泣き声が聞こえたということで、その場にいた女子生徒4人が撮影したもの。個室に呼びかけてもろくに返事がなく、ついに隣の個室の上からのぞき込む。しかし誰もいなかったためにトイレを出ようとしたところで突然問題の個室のドアが開く。撮影者達が中の様子を見ると驚くべきものが映り込んだ。
そこそこ長めの内容だが、何が起こるかわからない緊張感があり楽しめた。しかも出てきたものに私はなぜかかなり驚いてしまった。リプレイでも驚くし、エンディングでダイジェスト的にこの霊らしきものが映るときにもまた驚いた。よっぽど怖かったようだ。

「アダルトビデオの現場」
90年代に撮影されたビデオの撮影素材だそうだ。ラブホテル内で準備している様子が撮影されており、女優と思しき女性のテンションが高い。女優が映っている鏡の中に謎の男の姿。しかもコミュニケーションを取りたいかのように鏡の外へ向かってくるという展開。謎めいていていいと思う。

「謎のラジオ放送」
ADの島田さんが題材としてカセットテープを持ってきた。80年代にラジオ番組を録音したものらしく途中でノイズが入ってさらに男のうめき声らしきものが記録されていた。ディレクター寺内さんとサポートとして今回担当につく女性の江益さんとの間でこれを調査するかどうかの会議が行われる。島田さんは事象として地味なので取り上げるのには気が引けると言うが、人の生死のことに派手も地味もないもんだという反論を食らってこれを調査することに。島田さんの言う派手とか地味というのは番組的に視聴者が見ていて面白いかどうかということで、反論側の倫理観の話とは別個にすべきなのだろうとは思う。
事象を幽霊ラジオと名付けて調査開始。音声だけで手がかりがあるのかどうかも心配になったが、録音された大まかの場所がわかっており現地へ。そこでYouTuberのシバターさんみたいな風貌の人にインタビューしたりするもなかなか手がかりがない。しかし取材中に会った満井さんという女性が重要な情報を握っており一気に進展する。ちなみに取材中に見えた店の名前からするとここは静岡県だ。

「幽霊ラジオを知る者」
満井さんはこのカセットテープにあったうめき声らしきものを聞いたことがあるという。この辺りは霊がよく出るらしく、彼女が撮影した心霊写真などを見せてくれる。ホラーDVDのジャケットに使えそうなぐらいいい感じのものもあって怖い。
以降は幽霊ラジオの出所を探り、後編へ。途中に島田さんが「XXX」シリーズの現場への異動を希望しているとかの本筋とどう関係するのかわからない話が入ってきてちょっと長い。個人的にはスタッフ個人の葛藤はDVDにいらない。

「カップル」
これまた古めの映像で、96年に撮影されたものらしい。今回古いの多くないか。カップルが家でイチャイチャしている内容で何しに撮影したのか疑問だ。部屋の奥に女性の生首らしきものが映り込む。なかなかおぞましい外見をしているのだが、割と部屋にマッチしていて、悪趣味な置物であるとしても通用しそうだった。

「奇祭」
意外な感じのタイトルだ。調査中に満井さんの夫から電話があって、この辺りの土地では昔おかしな祭りをしていたという自身の調査内容を教えてくれる。生け贄を出していたというヤバそうな内容でスタッフ達はにわかに信じがたい様子。
村の人間から妨害されたりとホラー映画のような展開があって、最終的に奇祭の様子を記録したビデオテープが発見される。映像自体は普通だったが、ここから幽霊ラジオの正体まで繋げてくるという構成は全く予想できなかった。

呪いの黙示録 第三章   ★★★★

呪いの黙示録 Vol.3

今回もメインの取材の結果、意外なところへ着地する展開で楽しめた。それもあり80分近くのボリューム作。

「生き人形遊び」
オカルト儀式に興じる投稿者の友人。彼女は人形を使っての降霊術を撮影しながら行っていたところ、人が変わったようになってしまったという。その映像が紹介され、謎の音がしたり人形が飛んだり勝手に移動したり部屋が揺れたりと盛りだくさんな内容となっている。実話という体裁だからまだ見られるが、怖い話のドラマでこれを見せられると結構真顔になりそう。

「祟られる山道」
さっそく取材。柿田昇という男性からのメールが発端で、ある山道に行くと必ず怪現象が起こるので調べてほしいというものだ。必ずというのが凄い。黙示録スタッフの島田さんと江益さんが登場して打合せとなり、今回はディレクターのウンノヨウジさんが同行する。お馴染み寺内さんはスケジュールが合わないとのこと。
投稿者の柿田さんにインタビューすると、場所の地図だけを渡されて具体的なことはほとんど教えてくれない。しかも早く現地へ行ってほしいという要求が激しい。柿田さんの説明が悪すぎるからなのか、ナレーションでも「柿田」と呼び捨てだ。まあ、後から呼び捨てにされるだけの理由があったことがわかるが。

柿田さんの要求した日よりも後に現地の山道へ行った3人。山中に4本の角材が立てられているのが意味深だったぐらいで何もなさそうだったが、車に突然白い手の跡が付けられる。ここは派手だ。
そして柿田さんが亡くなり、舞台は火葬場へ。急展開。続く。

「公園」
飲み会帰りに公園へ行った女性2人。東屋に座って上機嫌でいろいろ話していると、後ろの方のトイレのドアがひとりでに開く。そして謎の女が出現。予想以上に速い動きで迫ってくるので驚いた。やや長いがインパクトあり。

「体育館の幽霊」
古い映像でどこかの中学校の体育館を撮影したもの。人がいるはずのない位置に誰かいるとか、人影が現れたり消えたりするという程度ではっきり言って事象としては地味だが、複数本あって落ち着いた気分で見られた。

「黒星」
ここからが後編。30分以上ある。柿田さんの葬儀の日に彼の兄から指定された火葬場へ赴くスタッフ。柿田さんの兄と、幼なじみの野山さんから情報を得るが、スタッフの島田さんの身体に異常が発生する。タイトルの「黒星」という単語が唐突に出てくる。
再び柿田さんが教えてくれていた山道へ行くと、ここでかつて起きた何かを知っているらしいYouTuberと遭遇。ヒュードロドロチャンネルを始めたそうだ。

結局黙示録スタッフではなくYouTuberが持っていた情報が明らかになる形で解決する。連合赤軍の山岳ベース事件を元にした凄惨な事件が起きていたようだが、「総括」とか言われても知らない人も多いだろうに。私は山本直樹「レッド」を読んでいたので知っていた。
伏線回収と意外な結末はよかったがスタッフ側がひたすら振り回されて終わる展開なのは賛否が分かれそうだ。

呪いの黙示録 第四章   ★★★★

呪いの黙示録 Vol.4

映像が水準以上をキープしているのもさることながら、心霊ドキュメンタリー系全般への警鐘を鳴らすような裏テーマがあるようにも感じる。

「顔」
新婚の夫婦の家周辺に何かが出没しているということに夫が気づく。妻の方は気づいていないのだが夫は頑なに主張して撮影開始。うまい具合に顔を撮影できたあたりは特に怖くないが、そのあとの方は少し怖い。

「予定中止」
結構古めの映像。キャンプに行くはずが雪が積もってしまって待機する男性達の様子が記録されている。することがなく駄弁っている男性の後ろに手。懐かしさを感じる。

「ボツネタ」
もともと7年前に「Not Found」のシリーズ宛に送られてきていた映像だそうだ。こっくりさんについて言及されており、当時はこっくりさんネタが世間で多かったこともあって没になっていた。映像の中身は投稿者の母親が亡くなった後でその部屋に怪奇現象が起きるというもの。ジャリジャリという物音と謎の影が確かに映っていた。
おなじみ寺内さんと島田さん、江益さんらスタッフ、アシスタントプロデューサーの真田さんとで会議してこの映像を調査することに。真田さんは昔のBUCK-TICK櫻井さんみたいな風貌になっているな。あと島田さんの移籍希望話が再燃してしまった。
投稿者の里田さんと連絡が付き、亡くなった母親の君枝さんはこっくりさんに熱心だったらしいことが死後にわかった。葬儀の時に井田という母親の友人らしき女性から、こっくりさんの用紙を渡してほしいと言われて回収されていたことがわかる。

井田さんの居場所がつかめずにスタッフ達で今後について会議となるが、江益さんがなかなかキツいことを言い出す。結論に向けてストーリーを作り出そうとする真田さんを牽制し、行き詰まりから収録への妥協点を考える島田さんへ苦言を呈する。こういう制作側の裏事情が見えるのはこのシリーズならではか。

「母の幽霊」
里田さんの友人の橋本さんから送られた映像。里田さんの家の中に母親らしき姿が複数体出現。ジャリジャリという音もしていた。わけがわからなくて面白い。後編「こっくりさん」へ続く。

「夏休み」
これも96年と古い映像。夏の日の朝に家の中を記録した映像だが、母親の足元に謎の男。今回はメイン以外の映像が少ないが、単体映像自体は長い。

「こっくりさん」
意外とすぐ続きになった。こっくりさんの紙を持ち帰った井田さんの行方を追っている最中で、里田君枝さんと井田さんの共通の旧友に行き当たる。彼女の持っていた写真が紹介される。あと里田君枝さんに近しいシラヤマさんという人が、君枝さんの死の前に亡くなっていたことがわかった。
重要な手がかりを得たかと思えたが井田さんへの取材ができず、投稿者の里田さんへ調査内容を伝える。調査は途中で終わってしまった形になるが、里田さんは感謝して涙を浮かべる。珍しくいい感じで終わりそうだ。

しかし真田さんと江益さんはこの件を諦めていなかった。再度作戦を練り、ついに井田さんに取材できることになった。この辺りの裏事情も収録する必要があるかは疑問。そもそも島田さんはスタッフ側が目立つのを嫌がっているはずだが今回はもろにスタッフ側の話ばかりだ。

投稿者の里田さんを伴って井田さんの家で取材。そこで衝撃的な事実が告げられ、里田さんの蒸発した父親が残していった映像が紹介される。君枝さんがこっくりさんをしているところのものだが、久々に声を上げるぐらい驚いた。スタッフの反応も収録されていて、一様にびっくりしている。そりゃそうなるわ。井田さんも最初に言っとけって感じ。
やはり最後の、投稿者里田さんの表情が今回表現したかったところだと思う。ずっとまばたきしないし。心霊ドキュメンタリーのあり方を考えさせられた。

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