ほんとにあった!呪いのビデオ・封印映像他感想 心霊マスターテープ

心霊マスターテープ 感想

2023/04/29

心霊マスターテープ      ★★★★★

心霊マスターテープ

投稿映像集ではなく、ホラードキュメンタリー監督や関係者が集結して、日本初の投稿系ホラー作品「知られざる心霊世界」の存在とその裏に隠された真実に迫っていく作品。エンタメ~テレのオリジナルホラーとして6回に分けて放送された内容が収録されている。内容はフィクションであると明記されていたので、実名で登場して不幸になった方々も無事なのだろう。

中村義洋監督を日本初の心霊ディレクターと位置づけ、彼にまつわるドキュメント番組を制作しようとしていたディレクターの寺内康太郎さん。しかし取材中には、中村さんの前にも投稿系ホラー作品「知られざる心霊世界」がすでに世に出ていたということが本人から提供され、寺内さんは交流のある心霊ドキュメントの関係者に声をかけてその情報を集める。

収録された投稿映像は少ないために、それ目当ての場合は肩すかしになると思われる。現物が見つかる「知られざる心霊世界」でそれがいくつか見られるので後ほど紹介するが、ほとんど取材がメインなので好きな方は楽しめる内容。

特にこのジャンルを多く観ている人ほど、登場人物の豪華さに驚くはず。「ほんとにあった!呪いのビデオ」「Not Found」「心霊~パンデミック~」といったおなじみの作品に関わったメンバーが多数出演されており、岩澤さんや杉本さんがかなり活躍する。「パンデミック」の徳丸さんや金井さんなどかなり思い切った起用のされ方だった。個人的に「心霊曼荼羅」などのラミアプロジェクトの方々も出演されていたのには特に驚いた。寺内さん作品関係の「境界カメラ」で存在感のあった井川さんもギャグ要素を引き受けており、最後まで目立つ。

内容は純粋な取材によって「知られざる心霊世界」がついに発見されるが、取材映像などに映り込んだ謎の男に襲われて次々と関係者が重体に陥ってしまうという恐ろしい展開。「知られざる心霊世界」監督の茨木氏や、制作していたベリーマグナムという会社やそこの社長、出演していたレポーター役の劇団員などの素性が明らかになり、犠牲者を増やしながらも徐々に真実が見えていくというスリリングな話だ。ぶっ飛んだ結末で度肝を抜かれたが、フィクションと銘打ったからこそできる凄まじい締め方でかなり面白かった。特に関係者を不幸にしまくるのがすごい。

知られざる心霊世界      ★★

DVDには映像特典として「知られざる心霊世界」の完全版が収録されている。これを普通に1つの投稿映像作品として見たとすると以下のような感想になる。収録時間は20分ほど。

「長野県 某所」
監督の茨木竜男さんの口上があってから始まるという、昔懐かしさがある。まずはどこかの家の中が映されている。空っぽの仏壇や古びたタンスなどがあり、しばらく何も起きずに室内が映し続けられるが、タンスの横に女性らしき霊が出現する。結構デカデカと出ていて昔ながらもそこそこインパクトがある映像があったものだと驚く。茨木さん自身のナレーションにより、この幽霊女性の年老いた母親が、自分が死んだら霊となってこの女性を説得するつもりだとかいうエピソードが語られて面白い。

「香川県 某所」
レポーターの箕輪春子さんが登場。本編でもこの方のことが話題になったが、ハリセンボンの方に似た名前だなとか関係者間で話されていそうだ。幽霊が目撃されるという水辺を夜にずっと歩いて行く。これが無茶苦茶長い。その間にテーレッテレーダァンッ!という単調なBGMが繰り返されるのも眠気を誘発する。
特に何も見つからないまま時間が流れ、突然昼間に変わってようやく何かが出現。内容は悪くないが、昼間のは撮影している側が無言であり、レポーターはこのときは不在。収録する順番が逆じゃないのか。幽霊が出たのを紹介してからその周辺をレポーターが探るというのではダメなのか。

「鹿児島県 某所」
夜中に物音がたびたびするために、確認しようと農家の倉庫を撮影したもの。これも長い。状況の変化がないものを映し続けられると困る。徐々にぼんやりと何か出てくるが、わかりにくい。待たせたあげくにこれではきつい。

「静岡県 某所」
再びレポーターの箕輪さん。舞台は山で、女の霊が出るとのこと。またもテーレッテレーダァンッ!が始まり、箕輪さんがときおり振り返りながらカメラ撮影する茨木さんと共に進む。茨木さんのナレーションはなかなか興味深いことを言っているのでそこは面白い。箕輪さんは「どんどん深くなっていきます」という程度の何ら具体性のない発言を繰り返すばかり。打合せ不足か。そう思っていると突然体調に異変があってその場に倒れ込んでしまう。どうも今作の箕輪さんのレポートって何の成果もなかった気がするな。尺稼ぎだろうか。

最後は茨木さんの語り。この辺りはいい感じに終わるしコンセプトの説明もわかりやすい。

心霊マスターテープ2 念写      ★★★★

心霊マスターテープ2 念写

今回も投稿映像集ではなく、心霊ディレクターやアシスタントが心霊関係の映像に隠された謎に迫っていく内容。前作同様に心霊ドキュメンタリー作品でお馴染みのメンバーが登場し、取材の過程で不幸な目に遭っていく。

今回メインとなるのは、「監死カメラ」シリーズなど知名度の高い金田さんが「ほん呪」で活躍の川居さんに送ったという古びた映像。心霊実験が行われているようで、被験者の男性がお札に包まれていた写真を見たところ、目から血を流して倒れてしまう。
どうも見せられた写真が見たら死ぬという呪いの念写写真だったようで、今回も寺内さんやアシスタント涼本さん、強力メンバーの岩澤さん、「Not Found」の古賀さんと杉本さん、カメラマン井川さんらが協力して取材にあたることになる。決起集会で諍いがあって次々とメンバーが離脱するなど、人間関係についても本作を盛り上げる要素になっている。

前作で行方不明になったり死んだと言われていたメンバーがあっさり復帰してきているのはフィクションと銘打っているからこそできる展開で、観ている側としては安心。シリーズごとに人が減っていったら最終的に寺内さんだけになってしまうだろうし。

念写写真は昔に小田原志津江なる人物の手によって作られたようで、取材によってその後小田原家は破滅に向かっていったことがわかってくる。しかし重要事項がわかるまでに「心霊~パンデミック~」の徳丸さんと金井さんが前回同様に行方不明になり、助っ人で登場した菊池さんと、一緒に調査していた川居さんも消されてしまう。

寺内さんらと並行して独自に調査していた「コワすぎ!」ならぬ「ヤバすぎ!」のスタッフが強烈なインパクトを残している。霊が廃屋に響かせる歌に皆がたじろぐところ、怒鳴り声で対抗するという力業。凄まじい。

ある人から本件の情報を得て積極的にネットで発表していた「心霊調査ビッグサマー」の夏目さんもライブ配信中に死を遂げてしまった。そこに書かれていたコメントから事情を知っている人物へと辿り着いていく過程は取材メイン作品ならではのゾクゾクとする展開だ。
全体を通して黒幕に手玉に取られている感が強いのでやり返すターンがほしくなったが、最後はホッとした。

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