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境界カメラシリーズ(1~4) 感想

2020/10/11

境界カメラ     ★★★★

境界カメラ

タイトルから「監死カメラ」シリーズの関連作であることが予想される。「妖怪カメラ」とも名前が似ている。きょうかいとようかい。しかし内容自体には特別関係はない。寺内康太郎氏をはじめとした監死カメラのスタッフが集結した企画。「我々は世界の広さをまだ知らない」というサブタイトル(?)がある。

投稿映像は最初のみで、ほぼ取材で話が進んでいく、ドキュメンタリー色が強く出た作品。私は最近、取材が長々と続く作品を連続して見ていて、やたらと取材ばかりの作品に食傷気味なのだが今作は興味が持続する内容だった。シナリオが上手い具合に作られているのだと思う。今後の展開にも期待したい。

「ナリモトD失踪事件①~謎の封筒~」
2016年春頃。プロデューサーの有馬氏が入手した、あるビデオテープに上書きされた謎の映像が発端。その映像をテーマにした心霊ドキュメンタリーのディレクターが失踪。元監死カメラのスタッフたちが失踪ディレクターを探し出すべく捜査を開始する。

最初の映像は事象の数で言うと群を抜いて多い。というか事象があったところだけをつなげているような内容だ。廃墟が出てきてそこに蠢く影が複数、どこかの家のベランダに並ぶ謎の家族、森にたたずむまたしても影。写真を包丁で突き刺す謎の男、目が光っている2人組などなど見所がたくさんだ。

この映像を軸に「恐怖の絶対領域!!心霊獄門帳」という心霊ドキュメンタリーシリーズの制作が始まろうとしていたのだった。しかしディレクターに指名されたナリモト氏が失踪。プロデューサーの有馬さんの元に、例のビデオテープとUSBメモリが届く。

私の文があらすじをなぞっていくだけになってしまっている。USBメモリの内容はナリモトさんたちスタッフの取材映像。これを境界カメラの監督である寺内さんが見て、突っ込みを入れまくるという展開になる。つまりはナリモトさんらが撮影していたのはやらせドキュメンタリーであることの指摘だ。
特に取材対象者がいきなり逃げて、後を追う過程についての細かい突っ込みが非常に面白い。取材対象者がカメラの方を向かないでインタビューに答えているのは、彼が役者で、演技中にカメラを見ないことを体で覚えているからだというのは納得できる指摘。むしろ今後他のシリーズでも気になってしまうぐらいだ。他にもいろいろ。

この突っ込みのくだりが面白かったのは、つまりは寺内さんによるホラードキュメンタリー業界の裏の暴露だからで、なんとなくプロレス界の裏を暴露したミスター高橋「流血の魔術 最強の演技」なんかが頭をよぎった。
「ナリモトD失踪事件②~符合しないシナリオ~」
この「境界カメラ」はニコニコ生放送を行っており、この取材映像について当時の関係者を番組に呼ぶことができていた。谷ももさんという女性アシスタントだ。彼女への取材と、当時のカメラマンであるイカワ氏にも事情を聞くことができたことで、ナリモトさん失踪の前に何が起きていたのかが徐々にわかってくるという構成であった。ナリモトとイカワって、2001年の阪神タイガースみたいだな。

イカワさんによると、ナリモトさんは冒頭の不気味な映像の取材が行き詰まり、似たような廃墟などを見繕ってその現場だったことにする予定だったらしい。ノルマに困ったサラリーマン状態になっている。ナリモトさん本人が最後にいなくなってしまうというシナリオがあったが、廃墟での撮影中に本当に失踪してしまってイカワさんにも居場所がわからない。

廃墟でのナリモトさんイカワさんの撮影映像が流されて、境界カメラ2へと続く。

境界カメラ2     ★★★

境界カメラ2

ドキュメンタリー作品の撮影途中で姿を消したディレクター、ナリモト氏の捜索が今回も続く。意外と長くやるもんだ。
収録時間が75分と少し長め。序盤は前回のおさらいである。

「ナリモトD失踪事件③~続・符合しないシナリオ~」
まず登場するのは監死カメラシリーズでお馴染みの金田さん。監督の寺内さんと共に、ナリモトDの母親に話を聞きに行った。ナリモトD所有のパソコンがあり、彼の兄によってパスワードが解除された。どういう管理なんだろう?中にはナリモトさんが心霊ドキュメンタリー用に残してきたメモや画像があった。重要な手がかりだ。
ネタや構成などをワードファイルに保存している。ワードによると、ナリモトDは実際に自身が失踪したことにして話を締めくくりたかったようで、先にこの話をしていたイカワ氏の話が補強される。

このPCの「よく使う項目」の欄にicloudとかあるのだが、クラウド上に何か保存していたりはしなかったのだろうか。紹介されないのであれば何も見つからなかったのだろうけど。

以降はナリモトDがカメラマンのイカワ氏と訪れた廃墟の話。ナリモトDに協力していた心霊コーディネーターの青木さんにインタビューできた。それによるとこの廃墟は青木さんの紹介とのこと。彼の地元にあり、元は旅館であった。
潰れてからしばらくして、経営者の親戚であるキリタニという人物がそこに住み始め、近所では奇妙な出来事が起きるようになった。

うーむ、これはこれで怖い話としては面白くなってきているが、ナリモトDの話とどうつながっていくのかは謎のままである。
寺内さんはイカワさんと、アシスタントのふゆふきうどんさんとともに実際に廃墟へ。道中でイカワ氏の思惑も明らかになり、そこは暴露話っぽくて面白い。「絶対(人に)言わない?」と念を押してから話すイカワさんであるが、バッチリ収録されている。

廃墟では、主にナリモトDが撮影しながら姿を消すことができるかの検証がなされる。つまりナリモトDの失踪は自分の意思によるものか、それとも実行不可能な怪奇現象なのかを確かめるのだ。
ここからはキリタニのいた痕跡、廃墟で撮れた怪奇現象、青木さんが持っていた不気味な映像などが紹介される。これらは興味深く見られた。新規の映像がないのかと思っていたので、あってほっとしたぐらいだ。

しかし謎が解けるどころか深まるばかり。そんな状況下でニコニコ動画内のチャンネルではナリモトD失踪事件が風化。およそ1年のブランクを経て復活したといういきさつが明らかになる。ここは怖さは全くないが、記録映像としては楽しめた。
今回ではまだまだ事件は解決せず、次作へと持ち越しとなった。

境界カメラ3     ★★★★

境界カメラ3
ナリモトD失踪事件の謎を追い続けているシリーズ3作目。序盤に割と丁寧にあらすじが語られるので、初めての方がここから見てもまあ問題ないと思われる。今作は収録時間が90分超えでどんどん長くなる。

「ナリモトD失踪事件5~再起・真っ赤な嘘~」
ナリモトDから寺内さんに連絡があり、いよいよ彼と接触できるようになってきた。彼から聞いた内容がまた驚き。ナリモトDは失踪していなかったというのである。

寺内さんと同行して捜査にあたっていたイカワさん。だがナリモトDとの廃墟撮影時に起きたことについて、彼が何か隠していることが問い詰められる。

これまでシリーズ1作目2作目で捜査の末に見つけ出したと思われていた手がかりの数々。しかしその一部はイカワさんがナリモトDの失踪をごまかすためにでっち上げたものだった。なかなか無茶苦茶である。これが暴露されて今後の仕事に差し支えないだろうか。

ナリモトDと寺内さんがついに出会う運びとなり、公園で会ったりするのだがそこでもいろいろと不可解な事象が生じる。

さてこの辺りで、ニコニコ動画のチャンネルを介して集ったネットの捜査本部の貢献が語られる。
公開された映像の検証や、周辺の情報収集や独自に推理を組み立てることなどで、事件の真相に迫っていったのだ。集合知ってやつかな。視聴者参加型のミステリという感じでかなり楽しそう。
私はニコニコ動画は見ていないので参加は全くしていないのだが、趣味コミュニティの一員として皆で1つの議題を考えていくのは面白そうだ。

いくつかの謎が解かれたが、残った謎もある。「VHSに上書きされた映像」「テープなどを送ってきた田中花子」「廃墟に住んでいたキリタニという男」が主なものだ。確かに気になる。
「ナリモトD失踪事件6~イカワとナリモト~」
寺内さん、イカワさん、ナリモトさんの3人でキリタニが住んでいた廃墟へ向かう。イカワさんとナリモトさんが再会した辺りで諍いが起きかけたが、和解したみたいでよかった。雰囲気よく行ってほしい。

ここからは廃墟に住んでいたキリタニの素性を探るのがメインになってきた。彼が残した物証が不気味なものばかりである。スケッチブックに心霊写真。そして電池の切れた古い携帯電話。そういえばこの携帯に残されていた音声データや画像の検証って最終的になされたんだっただろうか?
「ナリモトD失踪事件7~遅れてきた主人公~」
イカワさんの行動が疑わしかったり、ナリモトさんが今度はプロデューサーの有馬さんと和解したりと、興味深い展開で飽きなかった。今作辺りから謎が少しずつ解明されてくるので興味が尽きない。いよいよ次の4で全貌が明かされるらしいので楽しみだ。

境界カメラ4     ★★★★

境界カメラ4

「ナリモトD失踪事件8~蘇る!!心霊獄門帳~」
このシリーズもこの4本目で完結。なんと110分近い収録時間というこのボリューム。2本ぐらいに分けられたと思うが、この1本にまとめてきたのはいいと思う。
残っていた謎で大きいのは、廃墟に住んでいたキリタニという人物について、そして問題のビデオテープのパッケージに書かれていた「島田&キリタニ」の文字。島田とは誰か。

今作ではその辺りの謎も明かされることになる。キリタニの妹といきなりインタビューが始まるというかなり早い展開。そこから得た情報で彼のかつての勤務先を探し出すことに成功。饅頭屋であった。

かつて企画されていた「心霊獄門帳」制作のメンバーがそろってきて、いよいよキリタニ探しの開始というなかなか熱い流れなのだが、イカワさんが仕事の都合で不参加。

ここからが割と狭い範囲で話が進む。饅頭屋の店長が島田さん。これは驚き。彼の説明によって謎だった事項が次々とどういうことだったのかわかってくる。キリタニと島田さんの過去や、心霊映像を作った経緯など。結構時間をかけて丁寧に明かされていくので退屈しなかった。

あと残っている謎で大きいのは、廃墟での怪現象と、ナリモトDが廃棄したはずのビデオを送付してきた「田中花子」は誰なのかということ。この辺りも気になる。
「ナリモトD失踪事件9~YouTubeからの宣戦布告~」
ナリモトDが捨てたはずの映像がYouTubeにアップされているという連絡が寺内さんの元にあった。
そこそこいい感じに怖めの映像だったのだが、ネットの捜査本部がすぐにこの内容はでっち上げだということを看破する。

ここは面白い。解かれるために準備した謎を解いたということになるのか、それとも単に制作側の手落ちだったのか、実際のところはわからないが、楽しめる展開。
「ナリモトD失踪事件10~出発のビデオテープ~」
次は島田さんが持っていた、キリタニからのメッセージが入っている映像が紹介される。キリタニの顔もわかる。もうこれまでのエピソードから、化け物のような人物かと思われていたキリタニ氏だったが意外と普通の青年だった。
「完・ナリモトD失踪事件1~パリ、テキサス、M、青木~」
YouTubeにニセ動画をアップしたのは誰か。このパートのタイトルのうち、「パリ、テキサス」というのはイカワさんの着ていたTシャツの文字である。なんだそりゃ。

動画アップ者は果たしてイカワさんか、VHSを見た父親を亡くしていたMさんか、心霊コーディネーターの青木さんか、ということだったのだが、実際のところはパリ、テキサスさんだった。イカワさんはいろいろ盛り上げたり混乱を招いたりという役回りでかなり貢献した人だったと思う。
「完・ナリモトD失踪事件2~犯人・田中花子(17)~」
島田さんからキリタニさんと連絡をとる方法を教えてもらい、あっさりキリタニさん登場。自分が霊と話ができるとかの体質について説明してもらう。何か緊張感がなくなってきたぞ。

田中花子の正体も明らかになる。しかしここで、キリタニさんが撮影したらカメラに霊が映るという話になって、実際に黒い女の影を映した辺りが結構とんでもない。あれ、これってこんなチープな展開にしていいのか?と思える内容。良くここでOKが出たなと。
「完・ナリモトD失踪事件3~7月3日、雨のち晴れ~」
再び廃墟へ行き、後始末が行われる。
いろいろあったこのシリーズもここでついに完結となる。終わってみれば丸く収まったし、いろいろ怖い映像も見れたし、視聴者参加型なのも楽しめたし、人情味のあるエピソードも聞けたしで満足できた内容。Mさんの父親は悲惨だったが。

最後にキリタニさんと島田さんがラーメンを食べているシーンは胸が熱くなった。
またこういうシリーズがあれば見てみたいと思う。


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